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ロイヤルコペンハーゲン 1918年製イヤープレート「Sheep and Shepherds」の解説

ロイヤルコペンハーゲン 1918年製イヤープレート「Sheep and Shepherds」の解説

🐑 1918年製ロイヤルコペンハーゲンイヤープレートの解説

「Sheep and Shepherds(羊と羊飼い)」

ロイヤルコペンハーゲンの1918年製イヤープレート「Sheep and Shepherds(羊と羊飼い)」は、第一次世界大戦末期という激動の時代に制作された一枚でありながら、平和と希望の象徴として静かな人気を誇る作品です。
穏やかな冬の丘に立つ羊飼いと羊たちを描いたこのプレートは、ロイヤルコペンハーゲンが大切にしてきた「自然と人間の調和」というテーマを象徴しています。


※年月やその特徴については、現物をベースに文献等による確認もしておりますが、多少前後していたり、間違いもあるかもしれません。その点はご容赦ください。


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タイトルとデザインの概要

タイトル: Sheep and Shepherds
デザイン: その名の通り、冬の丘に佇む羊飼いと数頭の羊が描かれています。
彼らの頭上にはひときわ輝く星が象徴的に描かれています。
羊飼いが穏やかな眼差しで羊たちを見守る姿には、自然への慈しみと人間の温もりが感じられます。

このデザインは、当時のデンマーク社会における「平穏な日常への祈り」を象徴しており、戦争の終焉を迎える人々の心情を映し出しているとも言われています。
1918年という時代背景を考えると、この作品がもつ静けさと優しさは、より深い意味を持つといえるでしょう。

また、ブルーアンダーグレーズの繊細な濃淡によって、羊の毛並みの柔らかさや雪景色の空気感まで丁寧に表現されており、絵付師たちの高い技術が存分に感じられます。



デザイナー:オルフ・イェンセン(Oluf Jensen

オルフ・イェンセン(Oluf Jensen)は、ロイヤルコペンハーゲンで活躍した重要なデザイナーの一人です。彼は、特にイヤープレートをはじめとする記念プレートのデザインで知られています。オルフ・イェンセンの生涯や彼が残した作品には、ロイヤルコペンハーゲンの歴史の中で独特の魅力があります。

オルフ・イェンセンの概要

  • 名前: Oluf Jensen(オルフ・イェンセン)
  • 活動時期: 主に20世紀初頭
  • 専門分野: 陶磁器デザイン、特にイヤープレートや記念プレートのデザイン
  • 所属: ロイヤルコペンハーゲン(Royal Copenhagen)

オルフ・イェンセンは、ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートシリーズをさらに発展させる役割を果たしました。特に、彼がデザインを手掛けたプレートは、北欧の自然や風景、デンマーク文化を象徴的に描写しており、非常に高い芸術性を持っています。

特徴的な作風

オルフ・イェンセンの作品には、以下のような特徴があります:

  1. 自然の描写
    北欧の自然や風景をテーマにしたデザインが多く、特にデンマークの美しい田園風景や伝統的な建物を繊細に描写しました。

  2. 歴史と文化の融合
    彼のデザインは、単なる装飾にとどまらず、デンマークの歴史や文化、宗教的テーマを巧みに取り入れています。特にクリスマスプレートでは、聖書の物語やデンマークのクリスマスの伝統を反映しています。

  3. 繊細な彫刻的表現
    オルフ・イェンセンの作品は、細部へのこだわりが際立っており、まるで絵画のような繊細さと深みがあります。

代表的な作品

オルフ・イェンセンが手掛けた作品の中で、特に注目すべきものを挙げます:

  • 1917年製イヤープレート
    「Tower of Our Saviour’s Church, Copenhagen」
    コペンハーゲンにある救世主教会(Vor Frelsers Kirke)の塔を描いたデザインで、北欧の建築美を象徴的に表現しています。

  • その他のイヤープレート
    彼が手掛けたプレートは、どれも高い評価を受けており、コレクターの間で非常に人気があります。

ロイヤルコペンハーゲンへの貢献

オルフ・イェンセンは、ロイヤルコペンハーゲンのデザインの方向性を確立する重要な役割を果たしました。特に、イヤープレートシリーズにおいて、単なる装飾品ではなく文化的・芸術的価値を持つ作品へと昇華させることに成功しました。

まとめ

オルフ・イェンセンは、ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートの歴史において欠かせない存在です。彼のデザインは、北欧の自然や文化、デンマークのアイデンティティを見事に表現しており、その作品は今でも多くのコレクターや陶磁器愛好家に愛されています。



製造秘話とバックスタンプ

1918年は第一次世界大戦が続く中、デンマークは中立を保ちながらも多くの影響を受けた時期です。
このイヤープレートは、困難な時代にあっても希望と文化を大切にする精神を反映した作品として制作されました。

特に、羊や動物をモチーフとしたプレートは近年再評価が進んでおり、
「自然の中にある静けさ」と「平和への祈り」を感じさせるデザインが国内外のコレクターを惹きつけています。


プレートのサイズは、1911年のプレートから標準化され現在に至っています。

直径:約18cm
高さ:約2.5cm

バックスタンプは、王冠マークと三本の波模様と形状番号(フォルムナンバー)です。王冠マークに「DENMARK」のロゴは入っていません。

この頃から生産工程で数字(このプレートでは179がそれ)やスタンピング(このプレートでは下方にあるMも文字)がしばしば入るようになりました。

生産工程でつけられた数字やマーキングについては、「バックスタンプ⑤-その他徹底解説」で詳しく解説しています。

 

コレクターズアイテムとしての価値

1918年製イヤープレートは、今日では非常に貴重なコレクターズアイテムです。制作数が限られていたことに加え、その独特なデザインと歴史的背景から、高い評価を受けています。

特に保存状態が良好なものや箱付きのものは、さらに高い価値を持つことが多く、オークション市場でも人気です。また、救世主教会をテーマにしたデザインは、建築的テーマのイヤープレートとしても特に注目されています。


まとめ

1918年製ロイヤルコペンハーゲンイヤープレート「Sheep and Shepherds」は、
時代の逆境の中で生まれた「希望と祈りの象徴」といえる作品です。
自然と共に生きるデンマークの文化と、ロイヤルコペンハーゲンの卓越した職人技術が融合した傑作であり、
100年以上を経た今も、その静かな美しさは人々の心を打ち続けています。

コレクションの一枚としてはもちろん、芸術的・歴史的価値の両面から見ても見逃せない逸品です。ぜひこの魅力をお楽しみください!


ロイヤルコペンハーゲン イヤープレートのバックスタンプの全体像については、「ロイヤル・コペンハーゲン イヤープレートのバックスタンプ徹底解説」にて解説しています。

販売中の商品については、こちらをご覧ください。


🔗 出所・参考文献