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ロイヤルコペンハーゲン 1919年製イヤープレート「In the Park」の解説

ロイヤルコペンハーゲン 1919年製イヤープレート「In the Park」の解説

🌳 1919年製ロイヤルコペンハーゲンイヤープレートの解説

「In the Park(公園にて)」

ロイヤルコペンハーゲンの1919年製イヤープレート「In the Park(公園にて)」は、
静かな冬の公園を舞台に、一羽の小鳥と雪に覆われたベンチが描かれた作品です。
第一次世界大戦が終結し、平和と日常を取り戻しつつあったデンマークの空気を感じさせる、穏やかで詩情豊かな一枚として知られています。

ブルーの濃淡で表現された雪の質感や、枝の陰影、遠景の木々の佇まいが見事で、
まるで冬の空気が静かに流れているような感覚を覚えます。
派手さはないものの、ロイヤルコペンハーゲン初期プレートらしい「静謐の美」が凝縮された作品です。


※年月やその特徴については、現物をベースに文献等による確認もしておりますが、多少前後していたり、間違いもあるかもしれません。その点はご容赦ください。


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タイトルと図柄のテーマ

タイトル: In the Park
図柄のテーマ:「雪の公園と小鳥」
このプレートの主題は、冬の静寂に包まれた公園のベンチと小鳥。
雪の中に置かれたベンチは人の気配を失い、ただ一羽の小鳥だけが白い世界の中に命の温もりを添えています。

この構図には、戦後のデンマーク社会が再び穏やかな日常を取り戻していく希望が込められています。
人の不在を描きながらも、自然と生命が静かに息づく様子を通して、
“平和の訪れ”を象徴的に表現しているといえるでしょう。

淡いブルーグラデーションによる雪面の奥行きと、繊細な線描がこの作品の魅力を高めています。



デザイナー:オルフ・イェンセン(Oluf Jensen

オルフ・イェンセン(Oluf Jensen)は、ロイヤルコペンハーゲンで活躍した重要なデザイナーの一人です。彼は、特にイヤープレートをはじめとする記念プレートのデザインで知られています。オルフ・イェンセンの生涯や彼が残した作品には、ロイヤルコペンハーゲンの歴史の中で独特の魅力があります。

オルフ・イェンセンの概要

  • 名前: Oluf Jensen(オルフ・イェンセン)
  • 活動時期: 主に20世紀初頭
  • 専門分野: 陶磁器デザイン、特にイヤープレートや記念プレートのデザイン
  • 所属: ロイヤルコペンハーゲン(Royal Copenhagen)

オルフ・イェンセンは、ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートシリーズをさらに発展させる役割を果たしました。特に、彼がデザインを手掛けたプレートは、北欧の自然や風景、デンマーク文化を象徴的に描写しており、非常に高い芸術性を持っています。

特徴的な作風

オルフ・イェンセンの作品には、以下のような特徴があります:

  1. 自然の描写
    北欧の自然や風景をテーマにしたデザインが多く、特にデンマークの美しい田園風景や伝統的な建物を繊細に描写しました。

  2. 歴史と文化の融合
    彼のデザインは、単なる装飾にとどまらず、デンマークの歴史や文化、宗教的テーマを巧みに取り入れています。特にクリスマスプレートでは、聖書の物語やデンマークのクリスマスの伝統を反映しています。

  3. 繊細な彫刻的表現
    オルフ・イェンセンの作品は、細部へのこだわりが際立っており、まるで絵画のような繊細さと深みがあります。

代表的な作品

オルフ・イェンセンが手掛けた作品の中で、特に注目すべきものを挙げます:

  • 1917年製イヤープレート
    「Tower of Our Saviour’s Church, Copenhagen」
    コペンハーゲンにある救世主教会(Vor Frelsers Kirke)の塔を描いたデザインで、北欧の建築美を象徴的に表現しています。

  • その他のイヤープレート
    彼が手掛けたプレートは、どれも高い評価を受けており、コレクターの間で非常に人気があります。

ロイヤルコペンハーゲンへの貢献

オルフ・イェンセンは、ロイヤルコペンハーゲンのデザインの方向性を確立する重要な役割を果たしました。特に、イヤープレートシリーズにおいて、単なる装飾品ではなく文化的・芸術的価値を持つ作品へと昇華させることに成功しました。

まとめ

オルフ・イェンセンは、ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートの歴史において欠かせない存在です。彼のデザインは、北欧の自然や文化、デンマークのアイデンティティを見事に表現しており、その作品は今でも多くのコレクターや陶磁器愛好家に愛されています。



製造秘話とバックスタンプ

1919年の制作当時、ロイヤルコペンハーゲンは第一次世界大戦後の生産再開期にあり、
陶磁器づくりにおける品質と芸術性の両立を再び目指していました。

このイヤープレートも、そうした復興期に生まれた代表作の一つです。
無駄を削ぎ落とした構図と落ち着いた発色は、戦後の静かな希望を映すものといわれています。


プレートのサイズは、1911年のプレートから標準化され現在に至っています。

直径:約18cm
高さ:約2.5cm

バックスタンプは、王冠マークと三本の波模様と形状番号(フォルムナンバー)です。王冠マークに「DENMARK」のロゴは入っていません。

この頃から生産工程で数字(このプレートでは182がそれ)やスタンピング(このプレートでは下方にあるMも文字)がしばしば入るようになりました。

生産工程でつけられた数字やマーキングについては、「バックスタンプ⑤-その他徹底解説」で詳しく解説しています。

 

コレクターズアイテムとしての価値

1919年製「In the Park」は、派手さがないため一見すると地味ですが、
その静かな美しさと構図の完成度から、近年コレクターの間で再評価が進んでいます。

雪景色を題材にしたイヤープレートの中では特に構図のバランスが良く、
自然描写の繊細さに惹かれるファンも多いです。
状態の良い個体は市場でも高値で取引され、
特に初期刻印のあるものは希少価値が高まっています。


まとめ

1919年製ロイヤルコペンハーゲンイヤープレート「In the Park(公園にて)」は、
雪に覆われた静寂の中に、生命の気配をそっと描いた名作です。
この小さな鳥と白い世界が伝えるのは、戦争を経て訪れた「平和の静けさ」。

100年以上経った今も、この一枚は変わらずデンマークの冬の詩を語り続けています。


ロイヤルコペンハーゲン イヤープレートのバックスタンプの全体像については、「ロイヤル・コペンハーゲン イヤープレートのバックスタンプ徹底解説」にて解説しています。

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🔗 出所・参考文献