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ロイヤルコペンハーゲン 1916年製イヤープレート「Shepherd in the Field on Christmas Night」の解説
ロイヤルコペンハーゲンの1916年製イヤープレート
ロイヤルコペンハーゲンの1916年製イヤープレート「Shepherd in the Field on Christmas Night」は、同ブランドの歴史の中でも特に象徴的な一枚として知られています。このイヤープレートは、クリスマスの夜の平穏で神聖な情景を描いたもので、デンマークの伝統と宗教的テーマが美しく融合しています。
※年月やその特徴については、現物をベースに文献等による確認もしておりますが、多少前後していたり、間違いもあるかもしれません。その点はご容赦ください。
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タイトルとデザインの概要
タイトル: Shepherd in the Field on Christmas Night
デザイン: ルカの福音書福音書2章8-2※に伝わる天使が羊飼いと羊たちの前に現れた様子を描いたデザインで宗教的なメッセージを深く内包しています。
※ルカの福音書2章8-20節
新約聖書における「イエス・キリストの誕生」に関連する重要な箇所です。この部分では、羊飼いたちが救い主の誕生を告げられる場面が描かれています。
以下、内容を簡単にまとめ、その背景や意味を解説します。
本文(新共同訳から引用)
8 さて、この土地に羊飼いが野宿しながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
10 天使は言った。「恐れるな。わたしは民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
11 今日、ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。それがあなたがたへのしるしである。」
13 突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
14 「いと高きところには栄光、神にあれ、
地には平和、御心にかなう人にあれ。」
15 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったこの出来事を見ようではないか」と話し合った。
16 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。
17 それを見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを知らせた。
18 聞いた人はみな、羊飼いたちの話を不思議に思った。
19 しかし、マリアはこれらのことを全て心に納めて、思い巡らしていた。
20 羊飼いたちは、見聞きしたことが全て天使の話の通りだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。
プレートは、ロイヤルコペンハーゲンが得意とするブルー&ホワイトのアンダーグレーズ(下絵付け)技法で装飾され、陶磁器に描かれる独特の青い濃淡が作品に深みと魅力を与えています。柔らかな青色のグラデーションは、シンプルながらも時代を超えた美しさを持ち、どんなインテリアにも映える逸品です。
デザイナー: リチャード・ボーシャー(Richard Bocher)※
Richard Bocher(リチャード・ボーシャー)は、ロイヤルコペンハーゲンで活躍した著名なデザイナーおよび陶芸家の一人です。彼は特にイヤープレートや装飾用の陶器デザインで知られ、その作風は繊細な美的感覚とデンマークの自然や文化的アイデンティティを反映したものが特徴です。
※リチャード・ボーシャー(Richard Bocher, 没年不詳)
・活動期間: 19世紀後半~20世紀初頭
・分野: 陶器デザイン、装飾芸術
・代表的な作品: ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートデザイン
Richard Bocherは、ロイヤルコペンハーゲンの初期のイヤープレートシリーズのデザインに携わった人物の一人として名を馳せています。彼の作品は、自然主義的なスタイルや風景、動物をモチーフにしており、シンプルながらも奥深いデザインが特徴です。
特に、イヤープレート「Shepherd in the Field on Christmas Night」(1916年)のデザインは、彼の代表作として広く知られています。この作品では、聖書の物語をテーマにしつつ、北欧の静寂な風景を見事に表現しています。
製造秘話とバックスタンプ
1916年は第一次世界大戦の最中にあたり、ヨーロッパ全土が困難な時期を迎えていました。このプレートは、そんな時代にあってもクリスマスの平和と希望を象徴するデザインとして制作されました。
羊飼いの姿は、キリスト降誕の物語に登場する重要な要素であり、神聖な場面を静かに描写することで見る者の心を癒します。戦争で荒廃した日常においても、このような作品が希望の象徴として愛されました。
プレートのサイズは、1911年のプレートから標準化され現在に至っています。
直径:約18cm
高さ:約2.5cm
バックスタンプは、王冠マークと三本の波模様と形状番号(フォルムナンバー)です。王冠マークに「DENMARK」のロゴは入っていません。
この頃から生産工程で数字(このプレートでは12436がそれ)やスタンピング(このプレートにはありません)がしばしば入るようになりました。
生産工程でつけられた数字やマーキングについては、「バックスタンプ⑤-その他徹底解説」で詳しく解説しています。
コレクターズアイテムとしての価値
1916年製イヤープレートは、今日では非常に貴重なコレクターズアイテムとなっています。制作数が限られていたため市場に出回ることは少なく、その美しさと歴史的背景から高い評価を受けています。
特に、保存状態が良いものや箱付きのものは希少価値がさらに高まります。また、この年のプレートは第一次世界大戦中の制作という特異な背景もあり、歴史的価値も兼ね備えています。
まとめ
1916年製イヤープレート「Shepherd in the Field on Christmas Night」は、ロイヤルコペンハーゲンの技術と芸術性を象徴する一枚です。そのデザインは、キリスト降誕の物語を基に、戦争という困難な時代にも希望と平和を伝える役割を果たしました。
このプレートを手にすることは、単なる陶磁器の所有以上に、デンマークの歴史と文化、そしてクリスマスの精神を感じる体験を意味します。コレクターや陶磁器愛好家にとって、1916年製のイヤープレートは見逃せない逸品です。
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