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ロイヤルコペンハーゲン 1909年製イヤープレート:「Danish Landscape」の魅力

ロイヤルコペンハーゲン 1909年製イヤープレート:「Danish Landscape」の魅力

ロイヤルコペンハーゲンが制作した1909年製イヤープレートは、「Danish Landscape(デンマークの風景)」と題されています。このイヤープレートは、小さな国デンマークの自然と文化を象徴する美しい風景を描き、当時のデンマークの生活や景観を巧みに表現した作品です。

※年月やその特徴については、現物をベースに文献等による確認もしておりますが、多少前後していたり、間違いもあるかもしれません。その点はご容赦ください。

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図柄のタイトルとテーマ:「Danish Landscape」

松ぼっくりは、デンマークの景色を象徴するものとしてしばしば用いられる題材です。松ぼっくりの向こうに広がる冬の星空と遥か彼方に見える静かな農村風景が特徴で、デンマークの自然美を愛する人々にとっては象徴的なモチーフです。このデザインは、自然との調和を重視するデンマーク人の精神を反映し、ノスタルジーを呼び起こす作品として評価されています。プレートの縁には繊細な装飾が施され、この望郷的な風景画をさらに引き立てている素晴らしい作品となっています。


プレートは、ロイヤルコペンハーゲンが得意とするブルー&ホワイトのアンダーグレーズ(下絵付け)技法で装飾され、陶磁器に描かれる独特の青い濃淡が作品に深みと魅力を与えています。柔らかな青色のグラデーションは、シンプルながらも時代を超えた美しさを持ち、どんなインテリアにも映える逸品です。


デザインと制作者

1909年製のロイヤルコペンハーゲンイヤープレート「Danish Landscape」は、ロイヤルコペンハーゲンの初期イヤープレートの制作に大きく貢献したアーノルド・クロ-グ(Arnold Krog)※の指導の下、デザインは、ステファン・ウッシング(Stephan Ussing)※※によるものとされています。ウッシングは、デンマークの風景をテーマにした作品を得意とするデザイナーで、このプレートも彼の手によるものと考えられています。

作品には、デンマークの農村風景が描かれ、特に自然の静けさや伝統的な農場の魅力が際立っています。ウッシングのデザインは、写実的でありながら温かみがあり、観る者に郷愁を感じさせるものです。

このプレートでは、ブルーアンダーグレーズ(青色下絵付け)の技法を駆使して、自然の風景が柔らかく温かみのあるタッチで描かれています。青と白の色合いは、デンマークの冷たさと同時にその静寂を表現する役割を果たしています。


※アーノルド・クロ-グ(Arnold Krog、1856–1931)
デンマークの建築家、画家、デザイナーで、1884年から1916年にかけてロイヤルコペンハーゲンの芸術監督を務めました。彼は、同社の伝統的なスタイルを刷新し、日本の陶磁器や自然主義的なデザインからインスピレーションを得た新しいスタイルを導入しました。このスタイルは、風景や自然の描写を可能にする「アンダーグレーズ技術」を活用しており、ロイヤルコペンハーゲンの代表的な特徴となっています​。

彼の指導の下、ロイヤルコペンハーゲンは1888年のコペンハーゲン北欧展示会での評価や、1891年のパリ万国博覧会でのグランプリ受賞など、国際的な名声を確立しました。また、アーノルド・クロスはロイヤルコペンハーゲン初のアンダーグレーズ記念プレート(のちのクリスマスプレートの原型)をデザインし、これが同社の新しい伝統の一つとなりました​。

クロ-グはまた、退任後に風景画家としても活躍し、彼の作品や影響は現在もデンマーク芸術の重要な一部とされています。彼のデザイン哲学と技術革新は、ロイヤルコペンハーゲンの成功と進化において不可欠な役割を果たしました。



※※ステファン・ウッシング(Stephan Ussing、1868–1958)
ロイヤルコペンハーゲンで活躍した画家で、特に白鳥をテーマとした作品で知られています。彼は磁器の白さを巧みに利用して、白鳥や水辺の風景を繊細なアンダーグレーズ技法で描きました。この技術は、焼成後の純白の磁器がウッシングのデザインに深みと輝きを与えるのに最適でした。

彼の作品の一例として、白鳥が都市の運河に浮かぶデザインの花瓶があります。この作品は、ロイヤルコペンハーゲンの芸術監督であったアーノルド・クローグ(Arnold Krog)が設計した特別な形の花瓶を使用し、2つのパーツに分けて焼成されました。この花瓶は、ウッシングの見事な絵付けが失われるリスクを避けるため、慎重に組み立てられています。この特別な作品は、当時のロイヤルコペンハーゲンが「傑作」とみなしたほど評価が高く、販売記録にも高額な価格で記されています。


製造秘話とバックスタンプ

1909年製のイヤープレートは、デンマーク国内外で人気が高く、需要の増加に応える形で製造されました。しかし、当時の技術では、製造工程が非常に手間がかかるものであり、一枚一枚が職人の手作業によるものでした。

プレートのサイズは、直径:約15.5cm、高さ:約2.2cmと現在のイヤープレートに比べてふた回りほど小ぶりのサイズも希少性を高めています。

※ちなみに現在のサイズになったのは、1911年からです。


バックスタンプは、王冠マークと三本の波模様と形状番号(フォルムナンバー)です。王冠マークに「DENMARK」のロゴは入っていません。

「Danish Landscape」の魅力と価値

  • 文化的背景の反映
    このイヤープレートは、デンマークの自然と人々の生活を象徴的に表現しています。そのシンプルながらも美しいデザインは、時代を超えて愛されています。

  • ブルーアンダーグレーズの職人技
    陰影をつけるために繊細な筆遣いを要するブルーアンダーグレーズの技法は、職人の高い技術力を物語っています。

  • コレクターの垂涎の的
    1909年製のイヤープレートは、初期のイヤープレートコレクションの中でも特に珍しく、高い評価を受けています。

コレクターへのメッセージ

「Danish Landscape」は、デンマークの風景美を詩的に表現した名作です。この作品を所有することで、デンマークの歴史や文化を身近に感じることができるでしょう。イヤープレートの中でも特に希少価値の高いこの一枚を、ぜひコレクションの中に加えてみてはいかがでしょうか。

1909年製イヤープレートの魅力をぜひ体感してください!

ロイヤルコペンハーゲン イヤープレートのバックスタンプの全体像については、「ロイヤル・コペンハーゲン イヤープレートのバックスタンプ徹底解説」にて解説しています。

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