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第25歩兵師団とベトナムZIPPO ― “Tropic Lightning”の稲妻

第25歩兵師団とベトナムZIPPO ― “Tropic Lightning”の稲妻

🔰 第25歩兵師団とは

第25歩兵師団(25th Infantry Division)は、アメリカ陸軍の中でも特に歴史の長い地上戦部隊。
シンボルは稲妻のマークが入った赤い盾――“Tropic Lightning(トロピック・ライトニング)”と呼ばれています。

1941年、ハワイのスコフィールド・バラックスで編成され、
第二次世界大戦では太平洋戦線、朝鮮戦争では北朝鮮にて戦いました。
その後、1966年にベトナム戦争に投入され、サイゴン北西部のクチ地区を拠点に活動しました。


⚔️ ベトナム戦争での活動

第25歩兵師団は、サイゴン防衛の要として重要な役割を担いました。
駐屯地は有名な「クチ・ベースキャンプ(Cu Chi Base Camp)」――
ここは、後に敵の地下トンネル網で知られるクチ地区の中心地でもありました。

主な任務は、

  • 南ベトナム南部における地上戦とゲリラ掃討

  • クチ、タイニン、カンボジア国境付近での哨戒活動

  • 補給路(ホーチミン・ルート)の遮断

といった、非常に危険な前線任務。
第25歩兵師団は、その戦闘の激しさから「常に最前線にいた師団」と呼ばれています。


🪶 ZIPPOに刻まれた「稲妻マーク」の意味

ZIPPO下部に刻まれた稲妻マークは、第25歩兵師団のシンボル。
炎のようにも見えるこのデザインは、南国(トロピック)の熱気と電撃的な攻撃力を表し、
Tropic Lightning(熱帯の稲妻)”というニックネームの由来にもなっています。

上部には「VIETNAM 68-69」「PHAN RANG」と刻まれています。
これは、1968年から69年にかけてファンラン(Phan Rang)地区に駐留した兵士のZIPPOであることを示しています。
ファンランは南ベトナム中部の戦略拠点で、空軍基地も置かれた重要な地域でした。

このZIPPOは、現地で兵士が依頼して刻んだ一点物の手彫り品
使用痕や線の揺らぎが、当時のリアルをそのまま伝えています。


💡 Tropic Lightning の象徴

“Ready to Strike, Anytime, Anywhere”
(いつでも、どこでも、電撃のごとく打つ)

このスローガンの通り、第25歩兵師団はどんな状況でも迅速に対応する即応性を誇りました。
稲妻のマークはまさにその精神の象徴。
ZIPPOにこのシンボルを刻んだ兵士たちは、自分の誇りを金属の上に残したのです。


📖 ベトナムZIPPOが語るもの

ベトナムZIPPOの魅力は、単なる喫煙具ではなく「兵士たちの記録」であること。
「VIETNAM」「68–69」「PHAN RANG」「TROPIC LIGHTNING」――
このわずかな文字の中に、彼の一年、仲間、そして生還への祈りが込められています。

ZIPPOは現地で一つずつ刻まれ、同じものは二つとありません。
その一点一点が、戦地で生き抜いた証なのです。


🎖️ まとめ

項目 内容
部隊名 第25歩兵師団(25th Infantry Division)
通称 Tropic Lightning(トロピック・ライトニング)
活動地域 クチ、タイニン、ファンランなど
ZIPPO刻印 VIETNAM 68–69 / PHAN RANG / 稲妻マーク
意味 電撃的行動力と前線部隊の誇り
特徴 シールド型マークの中の稲妻、赤い盾の意匠

🪙 KIC GARAGEの視点から

このZIPPOは、25th Infantry Divisionの象徴「稲妻」を鮮明に刻んだ一点。
刻印の位置や文字配置から見ても、当時の現地職人による彫刻と考えられます。
ベトナムZIPPOの中でも人気・資料価値ともに非常に高いモデルです。

戦場の最前線で刻まれたこの稲妻は、
今なお“南国の雷光”として、歴史の中に静かに輝き続けています。


📍 関連リンク
ベトナムジッポーに刻まれた部隊のマークや徽章について↗
ベトナムジッポーの真偽の見極め方について↗

✍️ 執筆:KIC GARAGE ジャーナル編集部
📷 写真:KIC GARAGE 所蔵


※内容は私の個人的な見解です。誤りが含まれる可能性がございます。あくまで読み物としてお楽しみいただけますと幸いです。ご了承のほどよろしくお願いいたします。

販売中のベトナムジッポーについては、こちらをご覧ください。

以上